集積回路
集積回路(IC)は、現代の電子工学を支える要である。 ほとんどの回路にとって心臓であり頭脳でもある。 ほぼすべての基板の上で見かける、あの黒くて小さな「チップ」がICである。 よほど変わったアナログ電子工学の達人でもない限り、作る電子工作プロジェクトにはたいてい少なくとも1つのICが使われているはずであり、その中身を理解しておくことは重要である。
ICとは、抵抗器、トランジスタ、コンデンサといった電子部品の集まりを、小さなチップの中に詰め込んで互いに接続し、1つの共通の目的を果たすようにしたものである。 単純な論理ゲート1つだけのものから、オペアンプ、555タイマー、電圧レギュレータ、モータードライバ、マイコン、マイクロプロセッサ、FPGAまで、実にさまざまな種類がある。
このチュートリアルで扱う内容:
- ICの構成
- よく使われるICのパッケージ
- ICの見分け方
- よく使われるICの種類
参考になるチュートリアル:
ICの内部
集積回路と聞いて思い浮かぶのは、たいてい黒くて小さなチップである。 では、その黒い箱の中身はどうなっているのだろうか。
ICの本当の「中身」は、半導体ウエハー、銅、その他の材料を複雑に積み重ねた構造であり、これらが相互接続されて回路の中のトランジスタや抵抗、その他の部品を形作っている。 このウエハーを切り出し、成形したものをダイと呼ぶ。
IC自体は小さいが、それを構成する半導体ウエハーや銅の層は信じられないほど薄く、層と層のあいだの接続も非常に緻密である。 先ほどのダイを拡大すると、その様子がよくわかる。
ICのダイは、回路をこれ以上ないほど小さくした姿であり、そのままではんだ付けしたり接続したりするには小さすぎる。 ICに接続する作業を楽にするため、私たちはダイをパッケージに収める。 ICパッケージが、あの繊細で小さなダイを、誰もが見慣れた黒いチップへと変えてくれる。
ICのパッケージ
パッケージは、ICのダイを封入し、私たちが接続しやすいように端子を外部に引き出す役割を果たす。 ダイの外周にある接続点は、それぞれ細い金線を通じてパッケージのパッドやピンにつながっている。 ピンは、IC本体から突き出た銀色の端子であり、回路の他の部分へと接続される。 このピンこそが、回路の他の部品や配線とつながる部分であり、私たちにとってもっとも重要な要素である。
パッケージには多くの種類があり、それぞれ独自の寸法や実装方式、ピン数を持っている。
極性の表示とピン番号
すべてのICは極性を持ち、どのピンも位置と機能の両方において唯一無二である。 そのため、パッケージにはどのピンがどれかを示す何らかの方法が必要になる。 たいていのICは、1番ピンを示すために切り欠きか丸印のどちらかを使う(両方あることもあれば、どちらか一方だけのこともある)。
1番ピンの位置がわかれば、そこから反時計回りに進むにつれてピン番号が順番に増えていく。
実装方式
パッケージの種類を特徴づける主な要素の1つが、基板への実装方式である。 パッケージはすべて、スルーホール(PTH)か表面実装(SMDまたはSMT)のどちらかに分類される。 スルーホールパッケージは一般に大きく、扱いやすい。 基板の片面から挿し込み、反対側ではんだ付けするように設計されている。
表面実装パッケージは、小さなものから極小のものまでさまざまなサイズがある。 すべて基板の片面に乗せて、その面ではんだ付けするように設計されている。 SMDパッケージのピンは、チップの側面から垂直に突き出ているものもあれば、チップの底面にマトリクス状に配置されているものもある。 この形状のICは手作業での実装にあまり向いておらず、たいてい専用の道具が必要になる。
DIP(デュアルインラインパッケージ)
DIP(デュアルインラインパッケージの略)は、もっともよく見かけるスルーホール型のICパッケージである。 この小さなチップは、四角い黒いプラスチックのケースから、2列に並んだピンが垂直に突き出た形をしている。
DIP ICのそれぞれのピンは0.1インチ(2.54mm)間隔で並んでおり、これはブレッドボードをはじめとする試作用基板にぴったり収まる標準的な間隔である。 DIPパッケージ全体の大きさは、ピン数によって変わり、4ピンから64ピン程度まで幅がある。
ピンの2つの列のあいだの間隔は、DIP ICがブレッドボードの中央部分をまたげるようにちょうどよく設計されている。 これにより、それぞれのピンが基板上で独立した行に対応し、互いにショートしないようになっている。
DIP ICはブレッドボードで使うだけでなく、PCBにはんだ付けすることもできる。 基板の片面から挿し込み、反対側ではんだ付けして固定する。 ICを直接はんだ付けする代わりに、ソケットを使うのがよい場合もある。 ソケットを使えば、ICが「青い煙を吐いて」しまったときに、取り外して交換できる。
表面実装(SMD/SMT)パッケージ
今日では、表面実装パッケージには実に多くの種類がある。 表面実装型のICを扱うには、たいてい対応する銅箔パターンを持つ専用のプリント基板(PCB)が必要になる。
ここでは、比較的よく見かける表面実装パッケージをいくつか紹介する。 手はんだのしやすさで言えば、「なんとかできる」ものから、「専用の道具があればなんとかできる」もの、「非常に特殊な、たいていは自動化された道具でなければ無理」なものまで幅がある。
スモールアウトライン(SOP)
スモールアウトラインIC(SOIC)パッケージは、DIPの表面実装版のようなものである。 DIPのすべてのピンを外側に折り曲げ、サイズを小さくしたものだと考えるとよい。 手先が安定していて、よく目を凝らせば、SOICパッケージは手はんだしやすいSMD部品の部類に入る。 SOICパッケージでは、ピンの間隔はたいてい0.05インチ(1.27mm)程度である。
SSOP(シュリンクスモールアウトラインパッケージ)は、SOICパッケージをさらに小さくしたものである。 似たようなICパッケージには、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)やTSSOP(シンシュリンクスモールアウトラインパッケージ)もある。
MAX232やマルチプレクサのような、比較的単純で1つの役割に特化したICの多くは、SOICやSSOPの形で提供される。
クアッドフラットパッケージ
ICのピンを四方すべてに広げると、クアッドフラットパッケージ(QFP)のような形になる。 QFPのICは、1辺あたり8ピン(合計32ピン)から、70ピン以上(合計300ピン以上)まで幅がある。 QFPのピン間隔はたいてい0.4mmから1mm程度である。 標準的なQFPパッケージをさらに小さくしたものに、シン(TQFP)、ベリーシン(VQFP)、ローププロファイル(LQFP)パッケージがある。
QFPのICのピンを削り取ったような形にすると、クアッドフラットノーリード(QFN)パッケージになる。 QFNパッケージの接続部は、ICの底面の角に露出した小さなパッドである。 側面と底面の両方に露出しているものもあれば、底面だけに露出しているものもある。
シン(TQFN)、ベリーシン(VQFN)、マイクロリード(MLF)パッケージは、標準的なQFNパッケージをさらに小さくしたものである。 デュアルノーリード(DFN)やシンデュアルノーリード(TDFN)のように、2辺だけにピンを持つパッケージもある。
多くのマイクロプロセッサやセンサー、その他の現代的なICはQFPやQFNパッケージで提供されている。 人気の高いATmega328マイコンはTQFPパッケージとQFN系(MLF)パッケージの両方で提供されており、MPU-6050のような小型の加速度センサー兼ジャイロセンサーは極小のQFN形状で提供されている。
ボールグリッドアレイ
最後に、より高度なICのために、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージがある。 これは、ICの底面に小さなはんだのボールを2次元格子状に並べた、驚くほど緻密なパッケージである。 はんだボールがダイに直接取り付けられていることさえある。
BGAパッケージは、pcDuinoやRaspberry Piに搭載されているような、高度なマイクロプロセッサ向けに使われることが多い。
BGAパッケージのICを手ではんだ付けできるなら、はんだ付けの達人と自負してよい。 たいていは、ピックアンドプレース機やリフロー炉を使った自動化された工程でPCBに実装される。
よく使われるIC
集積回路は電子工作のあらゆる場面に登場するため、そのすべてを網羅するのは難しい。 ここでは、電子工作の学習でよく出会うICをいくつか紹介する。
論理ゲート、タイマー、シフトレジスタなど
ICそのものを構成する基本要素である論理ゲートも、それ自体を1つのICとしてパッケージ化できる。 論理ゲート用のICには、この4入力ANDゲートのように、1つのパッケージに複数のゲートが収められているものもある。
論理ゲートをIC内部で組み合わせることで、タイマー、カウンター、ラッチ、シフトレジスタなど、その他の基本的な論理回路も作れる。 こうした単純な回路の多くは、DIPだけでなくSOICやSSOPのパッケージでも見つかる。
マイコン、マイクロプロセッサ、FPGAなど
数千、数百万、数十億個ものトランジスタを小さなチップに詰め込んだマイコン、マイクロプロセッサ、FPGAも、すべて集積回路の一種である。 これらの部品は、機能、複雑さ、大きさにおいて非常に幅広い。 Arduinoに搭載されているATmega328のような8ビットマイコンから、パソコンの動作を統括する複雑な64ビットマルチコアのマイクロプロセッサまで、さまざまなものがある。
これらの部品は、たいてい回路の中でもっとも大きなICになる。 単純なマイコンは、DIPからQFN/QFPまでのパッケージに収められ、ピン数は8から100程度である。 これらの部品が複雑になるほど、パッケージも同じように複雑になっていく。 FPGAや複雑なマイクロプロセッサは1000本を超えるピンを持つこともあり、QFN、LGA、BGAといった高度なパッケージでしか提供されない。
センサー
温度センサーや加速度センサー、ジャイロセンサーといった現代のデジタルセンサーも、すべて集積回路として作られている。
これらのICは、基板上のマイコンや他のICと比べてたいてい小さく、ピン数は3から20程度である。 DIPパッケージのセンサーICは珍しくなりつつあり、現代の部品はたいていQFP、QFN、あるいはBGAパッケージで提供されている。
まとめ
集積回路は、ほぼすべての回路に登場する部品である。 ICについて理解できたところで、次のような関連する概念のチュートリアルも確認してみてほしい。
- PCB基板の基礎:ICは何らかの方法で回路に接続する必要がある。たいていはプリント基板(PCB)にはんだ付けすることになる。あの緑色の小さな基板について、このチュートリアルで学べる。
- シリアル通信、SPI通信、I2C:どれも、ICどうしが通信するための通信プロトコルである。
次のようなスキル系のチュートリアルもおすすめである。電子工作を始めたばかりの人なら、ぜひ身につけておきたいスキルである。
タグ: 部品、電気工学、技術
出典:Integrated Circuits(SparkFun Learn)を日本語に翻訳し、再構成した。 原文は CC BY-SA 4.0 ライセンスで公開されており、本ページも同ライセンスの下で提供する。